仏壇を合祀して、複数の仏壇を一つにしたいというケースもあります。
夫も妻も祭祀承継者である場合、両家墓を建てるのと同じように両家仏壇にしたいということです。
自宅にすでに仏壇があり、さらに実家などから仏壇を引き継ぐことになった場合には、二つの仏壇を祀っても構いませんが、宗派が同じであれば一つにまとめることも可能です。
宗派が異なる場合は、今後の供養について、家族や親族の反対がなければ、どちらか一つの宗派を選んで仏壇をまとめることも考えましょう。
ただ、宗派が違えば、本尊も仏具も異なるので、簡単にまとめることはできません。
こうしたことに関する考え方はさまざまなので、まずはそれぞれの菩提寺に相談してみましょう。
また、仏壇をまとめたり買い替えたりすると、不要になった仏壇を処分する必要ができてきます。
閉眼供養をした後、自治体に相談するか、仏具店に引き取りを依頼する方法もあります。
目次
二つの仏壇を一つにまとめる場合の流れ
宗派の違う二基の仏壇を一つにしたいとき
夫は長男、妻が一人っ子などというケースでは、両方の実家の仏壇を引き継ぐことになりがちです。
その場合には、次のような意見・要望があります。
- 家に仏壇が二基あると縁起がよくない
- とても二基はおけない
- 合祀できないか
まず、仏壇が二基あると縁起が悪いというのは迷信です。
実は縁起という言葉は仏教用語で、本来の意味は「すべての現象・事物はそれ自体で成り立つものではなく、無数の『縁』によって『起』きている」ということです。
「吉凶の前兆」という意味で「縁起が良い」「縁起が悪い」などと使うのは、仏教に沿ったものではありません。
二基の仏壇の宗派が違えば、本尊も戒名のつけ方も違うため、一つの仏壇にまとめることは原則としてできません。
二基の仏壇をそのまま安置するのが難しい場合には、
- 小さな仏壇を2つ購入して両方を拝んでいく
- 片方の仏壇に統合する形で供養していく
- 新しく仏壇を購入して両家を供養していく
などが考えられます。
ただし、いずれの方法も菩提寺の了解なしには進められません。
特に、2、3の方法は容認できないとする寺院もあるでしょうから、まずは事情を説明して相談しましょう。
宗派が同じ二基の仏壇を一つにしたいとき
宗派が同じ場合は、残すほうの仏壇に位牌を移し、使わなくなる仏壇の閉眼供養をします。
仏壇を処分する場合・仏壇を買い替える場合
仏壇の処分を検討している場合は、下記の記事をご参照ください。
仏壇を移動、引っ越しする場合
自宅の引っ越しや実家の仏壇の引き取りなどの理由で仏壇を移動するときには、移動前に閉眼供養、移動後、新しい場所に仏壇を安置した後には開眼供養を行います。
本尊と位牌を動かすということなので、場所を移す前後に2回法要を営みます。
どちらも菩提寺の僧侶に依頼するのが理想ですが、移動前後のどちらかが菩提寺から遠い場合には、近くにある同じ宗派のお寺を紹介してもらいましょう。
宗派によっては、閉眼供養にあたる遷座法要のみのこともあるので菩提寺に相談しましょう。
仏壇の搬出や搬入は、できれば仏壇の取り扱いに慣れた業者に依頼しましょう。
そして、大切な仏具は自分の手で移動させましょう。
仏壇の移動の流れ
①菩提寺に連絡する
引っ越しの1ヵ月ほど前までに寺院に連絡して、移転の日程を伝えて閉眼供養と開眼供養の依頼をします。
現在、仏壇のある場所と菩提寺が遠い場合、あるいは移転先と菩提寺が遠い場合も、まずは菩提寺に相談します。
菩提寺の僧侶が両方に出向くのが難しいときは、近隣にある同じ宗派の寺院を紹介してもらうなどします。
②引っ越し業者の手配
仏壇は一種の工芸品で、デリケートな細工が施されているので、取り扱いに慣れた業者に依頼するようにします。
仏壇専門の引っ越し業者や仏具店が経営する業者もあります。
菩提寺に連絡した際に、紹介してもらうのも良いでしょう。
③閉眼供養
引っ越しの前日までに行います。
④仏壇の搬出入
転居にともなって仏壇を引越す場合には、他の荷物をすべて運び出してから最後に仏壇を搬出して、新しい住居には一番最初に仏壇を搬入するのがしきたりとされています。
ただし、仏壇を大切にするという思いから生まれた方法と考えられ、絶対的な作法ではなく、順番にこだわらない僧侶もいます。
⑤開眼供養
次期に厳密な決まりはありませんが、祥月命日や年忌法要が近ければ、あわせて営むこともできます。