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お墓によく使われる石材
お墓は何世代にも渡って継承されるものなので、硬度が高い石が使われます。
その他、吸水性が低い、表面に傷やムラがない、模様が均一、磨くと光沢が出るといった特徴がある石が墓石として選ばれます。
日本で墓石として使用されている石は、輸入石材もあわせると、約300種類と言われています。
そのなかで、最も多く使用されているのが、御影石の石材名で呼ばれることの多い花崗岩です。
花崗岩は緻密で硬いことから、古くから石材として使われています。
ついで、安山岩、黒御影とも呼ばれる閃緑岩、斑糲岩となります。
御影石(花崗岩)
御影石(花崗岩)は硬度が高いので、一般的な墓石によく使われます。
また、墓石以外にも、灯篭や記念碑などにも使われます。
御影石という名は、兵庫県神戸市御影地区からで、この地域では上質の花崗岩が産出されます。
色合いによって、白御影、青御影、桃色御影、赤御影などと呼ばれています。
産地によって、色や石目の細かさなどが異なります。
白色系
銘柄 | 産地 | 種類 | 特徴 |
---|---|---|---|
稲田石 | 茨城県 | 花崗岩 | 白御影の一種で、加工もしやすく人気が高い。 |
真壁石 | 茨城県 | 花崗岩 | 白御影の一種で、光沢がある。 |
北木石 | 岡山県 | 花崗岩 | 白御影として名高く、赤みを帯びたものもあります。石目は中~粗粒。 |
灰色系
銘柄 | 産地 | 種類 | 特徴 |
---|---|---|---|
庵治石 | 香川県 | 花崗岩 | 最も高価な花崗岩で、うろこ状の独特の模様があります。 |
淡青色系
銘柄 | 産地 | 種類 | 特徴 |
---|---|---|---|
吹雪石 | 福島県 | 花崗岩 | 濃い青みを帯びていて、品質が安定しています。高級感がありながら、価格は手頃です。 |
羽黒糠目石 | 茨城県 | 花崗岩 | 目が細かく青みを帯びた光沢の美しい石です。 |
伊予大島石 | 愛媛県 | 花崗岩 | 青みがあり、硬度が高く、西日本で人気の石です。 |
黒系
黒御影は、火成岩である閃緑岩と斑糲岩です。
黒御影は、国内での産出量がとても少なく、輸入材がほとんどで、国産のものはとても高級品です。
銘柄 | 産地 | 種類 | 特徴 |
---|---|---|---|
浮金黒御影石 | 福島県 | 斑糲岩 | 代表的な黒御影で、独特な光沢のある高級品です。 |
牡丹石 | 福島県 | 斑糲岩 | きめ細かく黒い牡丹のような模様が特徴で、高級石材です。 |
能勢石 | 大阪府 | 閃緑岩 | しなやかな石質で割れにくく、つや出しの効果が大きな石です。良質の黒御影です。 |
ピンク・赤系
銘柄 | 産地 | 種類 | 特徴 |
---|---|---|---|
本御影石 | 兵庫県 | 花崗岩 | 淡いピンク色で、御影石の語源となった最高級品です。 |
万成石 | 岡山県 | 花崗岩 | 淡いピンク色の桃色御影です。 |
安山岩(本小松)
また、少しやわらかめですが、安山岩(本小松)もよく使われます。
安山岩は、経年変化によって、だんだん緑がかった色に変化します。
経年変化は一般的には嫌がられますが、味わいが出るのを好む人もいます。
色 | 銘柄 | 産地 | 種類 | 特徴 |
---|---|---|---|---|
灰色系 | 本小松石 | 神奈川県 | 安山岩 | 緑がかった灰色で、産出量が少ない高級石材。耐火性に優れています。 |
石の産地と色の関係
石は非常に重くて輸送が難しいため、墓石はその土地で採れる石材を使用されることが多いです。
関東以北での石材の大産出地は東北で黒系統の色、西の大産出地は瀬戸内海周辺で、白い色の石が採れました。
そのため、関西では白御影が採れるので白やグレー系、関東では黒色系の墓石が多く見られます。
海外産の石材
国産の石材は評価が高いものが多いですが、外国の石材も良質なものがたくさんあり、現在では多くの石材が輸入されています。
主な輸入元は下記です。
- インド
- スウェーデン
- 南アフリカ
- アメリカ
- 韓国
- 中国
輸入石材の特徴
石材名 | 産出国・地域 | 特徴 |
---|---|---|
アメリカングレー | アメリカ | 青みがあり、黒雲母が全体に均一に入っています。 |
山崎青 | 中国 | 青みを帯びて、こまかな粒子で独特の風合いです。 |
FG31 | アフリカ | 硬く、吸水率の極めて低い石です。茶色系です。 |
スウェーデン黒 | スウェーデン | 硬く、精密な黒で仕上がりがきれいです。黒御影では最高級品です。 |
インド赤石 | インド | 数少ない赤系の石です。吸水性が低く、光沢があります。 |
墓石の産地偽装に騙されないために
一方で、海外産の石材を日本産と偽って販売している業者もいます。
そのような墓石の産地偽装に騙されないためには、次のような方法で確認しましょう。
石材産地証明書を確認する
日本石材産業協会による石材産地証明書を確認しましょう。
日本石材産業協会は、採石業、石材加工業、墓石小売業、建築石材業、石材輸入・石材卸業、など石に関わる業種の全国約1200社で構成された社団法人です。
石材産地証明書を発行して、墓石の購入者に対して安心感を提供し、墓石業界のモラル向上を目指しています。
品質保証書を確認する
全国優良石材店の会(全優石)による品質保証書も確認しましょう。
全優石は、約400社が加盟している社団法人です。
全優石は、製品や修理をする石材店をネットワーク化していて、保証制度により完成後5年以内に製品や施工上の理由で欠陥が生じた場合には、無償で修理してくれます。
もし、万が一、建てた店舗が廃業しても、近くの認定店が保証対応にあたります。
墓石を選ぶポイント
墓石にはこの石でなければならないという決まりはありません。
ただ、何種類もの中から、実際に石材を選ぶとなるとなかなか素人では判断できません。
さらに、カタログや小さなサンプルを見てもイメージがつかないことでしょう。
石材を選ぶ際には、次のようなポイントを確認しましょう。
①硬度が高い
お墓は、長い間守っていくものなので、風雨や日差しに耐えられるものでないといけません。
硬度が高い石は水を吸うことが少なく、ひび割れたり変色したりする危険性が低くなります。
また、硬いほど研磨した時に表面のツヤが出ます。
②模様が細かくて均一
石が均一でないと、その部分がひび割れなどの原因になります。
また、見た目の美しさ、色・光沢なども選ぶ際に気にしたいポイントです。
③実際の墓石を見る
実際に立っている墓石を見て、磨いたあとの様子や、何年か経過した後の様子などを確認しましょう。
④信頼できる石材店を選ぶ
残念ながら、石材のよしあしは外から見ただけでは簡単にわかりません。
そんなときには、経験上さまざまな石の特徴を知っている石材店にアドバイスを求めましょう。
また、雪がよく積もる、寒暖差が激しい、海に近いなど、その土地の気候特性に耐えられる石を選ぶことも重要なため、その地域で経験が豊富な石材店なら安心です。